整形外科やリハビリ科の外来で、入院患者の方を検査室に移動させることなく病棟のベッドで神経伝導検査がおこなえます。非侵襲ディスポ電極で痛みを伴わず、操作は非常に簡単です。大型の機械と同様の信頼性で、神経絞扼による末梢神経損傷の有無をスピーディに検出、即時に診断が可能です。
鋭敏だが測定が難しいとされる順行性を採用。電極を指に巻きつけることで末梢神経を確実に刺激します。指から電気刺激を送り、手首から正中神経と尺骨神経の感覚神経活動電位(Sensory Nerve Action Potential: SNAP)を記録します。検査者は刺激レベルを最大上刺激に設定するだけで、後はスタートボタンを押すだけ。約30秒で検査は完了します。ノイズを最大限に抑えているため、きれいな波形をリアルタイムで確認することが出来ます。1度の検査で64回の電気刺激が送られますが、同期加算記録(averaging)には質の良いシグナルのみを採用。検査は薬指ーひとさしゆびー小指の計3箇所から行います。
各専門文献で優れた感受性と特異性が立証されている環指比較法を採用。ここでは絞扼部にあたる手根管を通る正中神経と手根管を通らない尺骨神経の神経伝導を比較しています。感覚神経間の比較は感度が非常によいため、初期段階の神経損傷や治療に伴う神経の回復・悪化も明確に確認でき、数々の臨床検査に採用されています。臨床で頚椎症性神経根症などの他疾患が疑われない限り、手根管症候群の電気診断には感覚神経検査が適しているといわれています。
薬指から順行性で検査した際、波形に2つの頂点が見られる場合があります。これは、薬指を通る正中神経と尺骨神経の反応が時間をおいて現れるためで、フタコブラクダ徴候 (Bactrian sign)と呼ばれます。手根管症候群の軽度~中度の患者に多く見られますが、必ずしも検出されるわけではありません。神経の通り方には個人差があり、正中神経と尺 骨神経が手のひらでつながっている場合もあります。メディレーサの検査では、薬指(正中・尺骨神経)・人差し指(正中神経)・小指(尺骨神経)の3箇所から波形を計測し、神経の頂点潜時を確実に検出します。また、フタコブラクダ徴候がみられても2つの頂点潜時差が許容範囲であれば正常とみなされます。
メディレーサの神経伝導検査には特別な専門知識や資格は必要ありません。ディスポ電極は正確に神経伝導が測定できるよう設計されており、検査機器本体では増・減ボタンで電気刺激レベルを設定し、スタートボタンで開始するだけになっています。
通常、神経伝導解析では検査距離と潜時を測定して伝導速度を検出したり、患者の年齢・皮膚温等を参照し、検査結果を微調整する必要があります。一方、比較法では同一患者の神経同士を比較しているため煩わしい微調整や速度の計算式は必要ありません。メディレーサは臨床研究結果をもとに独自の解析表を作成。手根管症候群の評価が即時におこなえます。
フィンランドと英国で行われた臨床調査では、未経験者の検査結果が、専門家による筋電計の検査結果と比べて感度94%・特異度98%と、高い信頼性が報告されました。メディレーサなら常にハイクオリティな検査結果が期待できます。
ディスポ電極を貼り、器械につなぎます。刺激レベルを設定し、検査を始めます。薬指ー人差し指ー小指の順で神経伝 導を測り、最後にそれぞれのピーク潜時を比較します。ピーク潜時の時差で正常ー軽度ー中度ー重度の4段階で評価します。
下記の3項目が典型的な手根管症候群患者の症状です。
1.早朝手の痺れで目を覚ます。手を振ると痺れがやわらぐ。
2.手や指先の痺れ等の症状は親指~中指にかけてみられる。小指には症状が見られない。
3.症状は手首から先にのみに見られる。腕や背中には見られない。
臨床検査では、Phalen検査(6割の確率で陽性) 、Tinel検査をおこないます。神経伝導検査では客観的証拠がえられる ため臨床検査の補助検査として奨励されています。
手根管症候群
手根管症候群
頚椎症性神経根症
糖尿病性末梢神経障害がみられる方、アルコール中毒者、高齢の方もメディレーサ検査では頂点潜時が十分に確認出来ない場合があります。臨床検査でニューロパチーや頚椎症性神経根症などの他疾患が疑われた場合は、専門家による検査をおすすめします。
メディレーサ解析表による重症度分類で中度の後半ー重度と診断され、臨床検査で手術の必要性が認められれば、外科手術を行います。英国・スウェーデン・フィンランドでは、メディレーサの検査結果をもとに治療法の選択を行っております。2005年の導入以来、手根管開放手術の適応判断に貢献し、数多くの外科医から信頼されています。
片手に納まる小さな本体は、持ち運びが簡単。難しい調整は一切なく、検査は増・減・スタートの3つのボタンで行います。 BT通信なので、電極を本体のケーブルにつなぐだけで、波形がパソコン上にリアルタイムで映し出されます。充電式なので、卓上充電器で常時スタンバイしておくことができます。
表面電極なので、針を刺す検査のように痛みがありません。精巧にデザインされているため、神経伝導検査にありがちな距離の測定や神経の位置を確認する必要はありません。皮膚の表面をきれいに拭くだけで、検査準備は完了です。
メディレーサ検査システムには解析専用パソコンがセットになっています。まず患者登録をしてから検査を始めます。BTを使用しているので、検査を常時リアルタイムで確認することが出来ます。検査終了後は波形から頂点潜時や振幅を確定したり、神経伝導速度の計算や波形同士の比較が簡単に行えます。また自由に波形同士の比較行えるので、過去の検査結果と比較して神経の回復や悪化を数値として客観的に観察することができます。
①正中・尺骨運動神経の遠位潜時比較:手首から正中神経・尺骨神経を別々に刺激し、短母指外転筋(正中神経)と小指外転筋(尺骨神経)で神経伝導を記録します。速度は出さずに、遠位潜時(立ち上がり時間)の時間差のみで評価します。頂点潜時差の許容範囲は1.2ミリ秒です。
②正中神経の運動神経速度を評価:数箇所から運動神経を測り、速度で評価します。
①正中神経と尺骨神経の混合神経頂点潜時を比較します。内側上顆から腋に向かって10cmのところに記録電極を貼り、手首から正中神経と尺骨神経を別々に刺激します。頂点潜時差の許容範囲は1.2ミリ秒です。長身の場合は微調整します。
②尺骨神経の運動神経速度を評価:数箇所から運動神経を測り、速度で評価します。
末梢神経線維の半数が損傷しはじめて症状に気付く糖尿病性末梢神経障害。客観的な結果が得られる神経伝導検査を定期検査に組み込むことで早期発見・早期治療が期待できます。指、足の裏から感覚神経の閾値と神経伝導速度を測定。結果の推移を見ながら、糖尿病性末梢神経障害を予防・早期発見します。